睡眠

添い乳以外の方法で授乳しましょう

みなさんは、添い乳をしたことはありますか?

添い乳とは、お母さんが赤ちゃんの横に横たわって抱き寄せた形で、ぴったりとくっついて授乳をすることを指します。お互いに布団に寝転んだ状態で授乳します。

産後間もなくの、お母さんの体調が優れないときや、赤ちゃんの夜泣きで体力が持たないときなど、添い乳をするとお母さんの体力の温存ができるというメリットがあります。また、赤ちゃんはお母さんの温もりをそばで感じ、安心してそのまま眠ることができます。添い乳は産褥期の睡眠感を高めるという研究結果もあります(1)

しかし、そのようなメリットを考慮しても、添い乳は基本的には推奨いたしません。なぜなら窒息死の報告があるからです。添い乳をしたまま、お母さんが眠ってしまうと、お母さんの身体で赤ちゃんを圧迫し、そのまま窒息してしまうことがあります。

消費者庁の資料によると、平成22年から平成26年までの5年間で、就寝時の窒息死事故が160件確認されたとのことです。これは、不慮の事故死のなかで32%と最も高くなっています(2)

また、就寝時の窒息死事故の内容は以下のとおりです(2)

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「家族の身体の一部で圧迫される」が5件となっています。

添い乳でしか赤ちゃんが飲んでくれない、といった場合は仕方がないかもしれませんが、死亡事例もあり危険だと分かっていることですので、基本的には添い乳はやめておくことをお勧めします。

授乳姿勢には、横抱き、脇抱き、縦抱きなどがあり、授乳クッションにもいろいろな大きさや形があります。座る椅子によっても、姿勢が変わってきます。添い乳よりも楽な授乳姿勢というのは、なかなかないかもしれませんが、お母さんと赤ちゃんがよりリラックスできる授乳方法を探してみてください。

お母さんが過酷な育児のなか、少しでも楽できるようにと、好意で病院のスタッフの方が添い乳を教えてくださることがあるかもしれません。また、疲れていないときに限って添い乳しても良い、などの指示を受けることもあると思います。ですが、お母さんが添い乳をしたいときはどのような時でしょうか?睡眠不足で疲れて、少しでも横になりたいときに、「添い乳しようかな」と思うのではないでしょうか。

もし、病院のスタッフの方に添い乳を勧められた場合は、「添い乳で窒息死事故が起きたと聞いたことがあり、怖いのでやめておきます」と伝えてはいかがでしょうか。

添い乳での不幸な事故が起きないように願うばかりです。

1 本田 智子授乳が与える褥婦の睡眠への影響, Journal of UOEH, 2018, 40 , 2 , p. 191-199

2 消費者庁.”0歳児の就寝時の窒息死に御注意ください!-家庭内で、就寝時に窒息死事故が多数発生しています-“.消費者庁.2016.

https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/release/pdf/161024kouhyou_1.pdf