障害者の方向け

【一般枠と障害者枠の違いについて】障害者手帳を持っていて就労経験がないあなたへ

ぽまこ
ぽまこ
 こんにちは、ぽまこです!

私は現在、自治体で障害者雇用の支援員として働いています(ジョブコーチ)。以前は精神科の大きな病院で作業療法士として働いていました。 

よく尋ねられるのが、

うさちゃん
うさちゃん
障害を隠して就活した方がいいですか?それとも障害者枠で就活した方がいいでしょうか?何が違うのでしょうか? 

という質問です。

また、「精神障害があり仕事のブランクが長く、再就職できるか心配」、「息子・娘が障害者手帳を持っているけど、仕事ができるとは思えない。今後の子どもの行く末が心配…」ということもあると思います。

一般枠で働けるのか、それとも障害者枠で働くのか、作業所なのか、働くのは難しいのか…といったことは、障害の程度によりますが、ここでは障害者雇用での働き方について知っていただきたいなと思っています。

みなさんの選択肢が増えれば嬉しいです。

以下、便宜上「一般枠」は一般枠で障害を隠して就職すること、「障害者枠」は障害者枠で働くことを指して書いていきます。一般枠」のなかに、障害をオープンにして働くことは含めずに記載しますので、ご了承ください。

結論から先にお伝えします

一般枠

メリット

・求人がたくさんあるので、自分のやりたい仕事が見つかりやすい

・キャリアアップを図りやすい

・お給料の昇給が大きい

デメリット

・通院のために仕事を休みにくい

・障害がばれないようにと気を遣わないといけない

・服薬にも気を使う

・障害に対する配慮が得られない

障害者枠

メリット

・障害による特性により、合理的配慮を受けられる

・障害に対する理解がある職員のもとで働くことができる

・通院や服薬に気を遣わなくて済む

・悩みを職場の人に言いやすい

・多めに休憩をもらえる(職場による)

・電話対応が苦手な場合はしなくてよい(職場による)

・残業がないところが多い

デメリット

・自分より若い上司(指導員)の元で働かないといけない可能性が上がる

・仕事の内容が同じことが多く、自分の成長を感じられない人もいる

以下詳細をお伝えしていきます!

仕事の種類は一般枠の方が多い

一般枠では求人がたくさんあるので、自分のやりたい仕事が見つかりやすいです。

障害者枠の募集というのは一般枠に比べると、かなり人数が限定されていますので、おのずと仕事の選択肢は減ります。

また、障害者枠の求人は事務仕事などジャンルが限られていることが多いです。

また一度就職してから仕事の内容が特に変わらず、同じことの繰り返し、という場合もあります。

変化がないことをいいと捉えるか、悪いと捉えるかはその人次第といえます。

障害者枠は仕事のスピードはある程度調整できる

一般枠では、自分のペースで仕事を進める、ということはよほど仕事がない時期しか難しいですよね。

納期に追われることもしばしばでしょう。

障害者枠ではジョブコーチが仕事の量の調整もしてくれますので、ある程度自分のペースを守ることができます。

ただ、あくまでも仕事ですので、繁忙期はあります。

キャリアアップ、お給料を望むなら一般枠

一般枠は、キャリアアップを図りやすいです。

経験を重ねると、課長、部長と役職が上がっていくこともありえます。

しかし障害者枠では、そのようなキャリアアップの制度があるところは少ないようです。

それに伴い、一般枠では、お給料の昇給幅も大きくなる傾向にあります。

一見、一般枠は「課長や部長と上の方を目指していけるんだ!」とワクワクした気持ちになるかもしれませんが、部長などになって上に立つということは、部下のマネジメントもしなければいけませんし、仕事の内容が大きく変わるということなので、ストレスは大きくなります。

急な休みが取りやすいのは障害者枠

急な体調不良などで休みを取りやすいのは、障害者枠だと思います。

もちろん、職場によっては一般枠でもあると思いますが、障害者枠の方が休みは取りやすいでしょう。

また、定期的な通院が必要な場合、平日しか通院できない場合もあると思います。

土日祝日の休みの企業が多いなか、一般枠で平日に定期的に休みを取るのが難しい場合は多々あります。残業を断れない、ということもあるでしょう。

それにより通院ができず薬がなくなり、症状が悪化してしまうという場合もありえます(実際そういうケースを聞きました)。

上司の年齢が自分より下のことがある

障害者枠で働くと、ジョブコーチがかなり若い年齢のことがあります。

実際私が働くところでも、ジョブコーチよりも障害者の方の方が年齢が上というケースは多々あります。

自分よりも年下の人に、仕事を教えてもらうということに抵抗がある方は、苦痛に感じるかもしれません。

障害者の方同士の人間関係

障害者枠にて、障害者の方同士では、お互いの障害の詳細を知らされていない場合がほとんどです。

それにより相手の障害者の方の行動が、障害から来るものなのか、その方のもともとの特性や性格なのか分からず、しんどい思いをされる方がおられます。

もちろん、そういう悩みをジョブコーチに相談することはできます。

障害者枠では、障害のことをきちんと勉強している人からのサポートを得られることが多い

障害者枠でのメリットのひとつが、私のように、精神科で作業療法士として数年働いた経験があったり、心理士や精神保健福祉士の資格を持った方などその道のプロのジョブコーチかのサポートが得られることが多いです。

ただ、ジョブコーチのなかには、全くの畑違い出身の方がおられるので、完全にそうとは言い切れないところがネックです…。

合理的配慮

障害者雇用では、障害の特性により、合理的配慮を得ることができます。

たとえば、「指示をひとつずつ出してほしい」、「指示は書面にしてほしい」といった指示出しの仕方から、「いつも同じ時間に薬を飲まないといけないので、決まった時間に休憩がほしい」、「過集中にならないように気をつけて見ておいてほしい」といったことなどを求めることができます。

ただ、ジョブコーチの立場からすると、ある程度ご自身で症状など把握しておき、それをジョブコーチに伝えられるとなお良いです。

障害者就労をする前に、就労移行支援事業所などを利用する場合、そういった合理的配慮について、スタッフが一緒に考えてくれます。

ちなみに、障害者雇用で内定しやすいのは、ご自身の障害や特徴についてきちんと理解されている方でしょう。

就労移行支援事業所を利用する場合

障害者枠で就労する際、就労移行支援事業所を利用することもあるかと思います。

私の働いている職場では、就労してからも「定着支援」という形で就労移行支援事業所を利用されている方がおられます。

たとえば、「ジョブコーチや他の職員とうまくいかない…」と職場の人に相談しにくいできごとがあったとき、就労移行支援事業所のスタッフに「こういうことがあったけど、どうしたらいいか分からない」と相談できます。

その後、就労移行支援事業所のスタッフがご本人にうまく立ち回る方法を教えてくれたり、ご本人が希望すれば、就労移行支援事業所のスタッフが間に入って、会社の職員に想いを伝えてくれ、問題解決を図ることができます。

雑談が苦手な方には障害者枠が向いているかも

ちょっと傍に逸れるかもしれませんが、雑談の時間についてです。雑談をする時間というのは、どこの職場でもあると思います。

しかし、障害をお持ちの方のなかには「雑談の時間が一番苦痛…」という方がおられます。

「雑談で何を話したらいいかわからない」という方には、ジョブコーチと雑談の練習をしたり、どの話題が職場にふさわしいかなどを考える時間も取っています。

また、プライベートでの他の方への対応に苦慮されている場合にも、うちの職場では相談に乗っています。

どんな働き方がいいか迷ったら…

ここまで読んで、どう思われたでしょうか?「ものすごく障害者枠を推してくるな」と思われたでしょうか。

私の持論ですが、一般枠で問題なく働けるのなら、一般枠で働くのがいいと思っています。

ただ、「問題なく働く」というのがどういうことかというと、私は数年同じところで働き続けられること」だと思っています。

短期間で辞めて何度も再就職するというのは「問題なく働くことができている」とは言いがたいです。

仕事のストレスが大きく、すぐに症状がぶり返し、休みを繰り返しているのであれば、数年働き続けることは難しいのかもしれません。

また発達障害などの場合、仕事のスキルとしては一般枠で働くレベルにあっても、コミュニケーション能力や社会性の問題で他者とトラブルになるかもしれません。

仕事についていけなかったり、同僚とのトラブルによりうつ症状などが出て二次障害となるのは避けるべきです。

また、障害者枠でいきなり働ける人もいれば、就労移行支援や作業所で仕事をするスキルを高めてからの方が良いかもしれません。

また症状や生活リズム、活動レベルなどが安定していないのであれば、病院やクリニックのデイケアや作業療法に通うのがいいでしょう。

とにかく私がお伝えしたいのは、今のあなたに合う段階の場所を選ぶのが大事であり、それが幸せへの第一歩だということです。

まずはどこかに身を置いてみて、合わないと思えば違うところに変えてもいいのです。頑張りすぎずに、ご自身に合うところを探してみていただきたいなと思います。

以下の記事では、就労移行支援についてご紹介しています。ぜひご覧ください。

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おわり