※ 正確には私が働いていたのは都道府県立の病院から、地方独立行政法人に変わったので”準公務員”です。
※地方独立行政法人の病院も便宜上、以下”国公立の病院”、”公立の病院”とさせていただきます。
公務員の作業療法士の仕事の内容
仕事の内容ですが、作業療法士として働くのなら、民間と公務員で仕事の内容はほぼ一緒です。
公務員の作業療法士として働く、というのは国立病院か公立の病院で働くということであって、作業療法士ということには変わりありませんので同じです。
たとえば、公立の小中学校で働いている教師の方も公務員ですよね。
それと同じイメージを持っていただくと良いと思います。
就職試験は筆記と面接
過去のことですが、先ほどもお話ししたように、私は以前、地方独立行政法人の病院で働いていました。
その時の就職試験では、筆記試験と面接がありました。
(小論文もあったような気もしますが、忘れました…申し訳ありません。)
筆記試験は作業療法士の国試のような内容でした。
面接では3名の面接官の方がおられました。
就職してから、実際に私の面接をして下さった作業療法士の長に、私が受けた就職試験について聞きますと「面接ももちろん関係はあるけど、筆記試験の点数で決めるところもある。」とおっしゃっていました。
また、精神科の病院に入るために筆記試験を受けましたが、私が受けたところは複数の病院でひとつの組織でしたので、精神科の問題だけでなく、身体障害などの問題も出ていて、本当に国試のような感じでした。
私の場合はこのような就職試験でしたが、自治体や病院によって試験内容は違い、場所によっては一般の公務員の就職試験のように教養問題が出るところもあるようです。
公立病院と民間病院の違い
私は公立と民間の精神科病院に勤めたことがあるのですが、そのなかで実感した違いを記載します。
医療観察法の指定入院医療機関に指定されているのは国・都道府県または特定(地方)独立行政法人のみ
「医療観察法」とは通称で、正式には「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律」といいます。
簡単にいうと、医療観察法は重大な他害行為(殺人や傷害、強制性交、強制わいせつ、強盗、放火)を行い、心神喪失または心身耗弱と判断された場合に実刑を免除された人を対象に、医療や観察などを行うことによって、病状の改善と再犯予防、社会復帰の促進を行うというものです。
一般的な精神科の治療は、精神保健福祉法によるものですが、医療観察の場合、処遇の決定に司法が関わっています。
その医療観察法の治療の中には、入院の処遇もあるのですが、「指定入院医療機関」と指定されているところでのみ入院できることになっています。
その指定入院医療機関が国、都道府県、特定(地方)独立行政法人の病院のうちの一部の病院のみで、令和2年4月1日時点では全国で33施設らしいので、1都道府県に1つあるかないか、というレベルです。
ちなみに私も過去、医療観察病棟に専属で配属されたことがありますが、かなり手厚い医療という印象でした。
対象者(医療観察では患者さんのことを対象者と呼びます)一人に対するスタッフの人数が、普通の病棟と比べると何倍かの人数で対応しています。
一般の病棟よりも手厚い医療を提供しているということで、それを「理想的な医療」と捉えるスタッフもいて、医療観察病棟に配属されることを希望する方は多数おられます。
それを狙って、指定入院医療機関の就職を希望された方も何人か知っています。
運が良かったのでしょう(たぶん)。
詳しく医療観察法について知りたい方は、厚労省のページを貼っておくので、ご覧ください。
病状が重い方がたくさんいらっしゃる
上記のように、私が働いていた病院は指定入院医療機関があるほど大きめの病院だったので、基幹病院としての役割もありました。
これは国公立の病院に限った話ではないですが、クロザリル(新薬)やECT(車のETCではなくて電気けいれん療法のことです)などを使える病院というのはある程度限られているので、通常の治療では症状の改善が認められなかった患者さんについて、クリニックなどからの紹介で入院してこられる方など多数おられました。
ということは、そういうケースは症状が重い方が主ということです。
また、今医療費というのは高齢化社会なのもあり、日本の財政を圧迫しています。
入院というのはお金がかかるものですので、入院期間を短くしようという流れにあります。
その流れを作るために、「○年単位で長期で入院していた患者さんを○割退院させたら、加算がつく」といったものや、「30日以内までの入院は○点、31日以上の入院になると○点に下がる」というものなどがあります(例外等もありますし、改定で変わることがままあるのでここではぼかしています)。
ということは、どこの病院も、経営的に早期に退院させたいとなりますよね。
でも病状から早期に退院できない方もおられる。
そういう方は民間の病院ではなかなか診ることができない
→税金が投入されている国公立の病院で診る、ということがあります。
もちろん、上記のように病状の重い方ばかりではなく、症状が軽い方もおられますが、民間に比べると病状が重い方の割合が多いように感じます。
公務員の方がお給料が良い場合がある

就職し始めはお給料は普通か安いくらいですが、10年、20年と経つと昇給の幅が大きいので民間よりも高くなります。
民間から公立の病院に転職してきた先輩も、民間の病院に比べると結構お給料が良く、昇給の幅も大きいと話されていました。
また、私は公立から私立病院に転職したのですが、お給料は下がりました。昇給はありますが、あまり増えません。
逆に訪問などはお給料が良いので、公務員で作業療法士をやるよりももっと稼げるかもしれません。
ちなみに過去、地方独立行政法人の病院で働いていた時、私がいただいた具体的な年収ですが、新卒一年目の年収は250万円台、5年目の年収は410万円台でした。これには交通費も含まれています。
国公立は転勤がある場合がある
これは私立でもそうだと思いますが、いくつかの病院でひとつの機関として運営されている場合、その機関内で転勤があることがあります。
また、国立病院機構だと全国転勤もあると聞いたことがあります(何年か前に聞いた話ですし、不確かな情報で申し訳ありません)。
就職時の契約などにもよるので、要確認です。
公務員は副業や兼業に制限がある

私立で働くよりも副業の制限は大きいです。
2018年に副業に関する法律が変わり、自治体によって違ったりするようですが、今でも基本的には副業できても公益的活動のみと限られているようです。
実際私が勤めていたところでは、病院内で副業がばれると、個人名は伏せてありましたが注意喚起ということで周知されていました。
ここで注意ですが、国公立の病院で働いていても正社員でなくパートなどで雇われている場合は、兼業が可能なこともあります。
詳細は募集要項などで確認をしてください。
※詳しくは「公務員 副業」などのキーワードで調べてみてください。
体制が古い
一応公立病院はお給料も安定していますし、辞める人が少ないです。
なので年配の方が多くなるのと、スタッフの出入りが少ないので新しい考え方も入ってきにくく、保守的な感じでした。
また、転職してきたスタッフが意見を言ったとしても、上の人達がずっと同じやり方でやってきたのを崩されたくなく、反対されることが多々ありました。
私の前いた職場は、どんどん新しいことをしたい!と思っている方には苦痛だと思います…。
年齢制限がある場合もある
応募の条件で年齢制限がある場合があります。
今さっと調べてみたところ、制限がある場合は30歳〜40歳くらいまでのところが多いようです。
休みが多い
私が働いていたところでは、土日祝日+夏休み5日+年末年始だったので、年間130日くらい休みでした。
他の民間の施設で働く作業療法士の知り合いに聞くと、もう少し少ないところが多かったです。
ずっと公務員でいられないこともある
私の場合のように、もともと都道府県立の病院でも、再編などで都道府県立ではなく地方独立行政法人に属するところは今多くなっています。
都道府県立だった時は地方公務員でも、地方独立行政法人になった後は準公務員(みなし公務員)になります。
病院の経営自体も税金で賄われていた分が徐々に減るように計画されていました。
私が働いていた時は、準公務員になったからといって大きくお給料の変動があったわけではありませんでしたが、今後どうなっていくかは不明です。
経営母体のがすごく分かりやすく載っているサイトがあったので参考までに貼っておきます。
【まとめ】公務員の作業療法士はいいところも悪いところもある!
公務員の作業療法士として働くには、メリットもあればやはりデメリットもあります。
公立も私立も働いたことのある私としては、公立の方がお給料も良かったですし、研修とかも泊まりがけのものも何度か行かせていただいたし、良かったのかなと思っています。
公務員、準公務員として働きたい場合、以下の2つのサイトで検索するとすぐに今応募できるところが分かると思いますので、参考になさってください。
今日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。
https://nikonikoot.com/2020_ot_tensyoku/