一般の方・学生さん向け

【精神科で働いたことない人向け】精神科病院での作業療法とは

 

今回は、精神科病院でのOTの仕事内容について書いていきます!

  • プログラムの内容・目的
  • 診療報酬
学生
学生
身体障害分野の作業療法はなんとなくわかるけど、精神科ってなにしてるの?
ぽまこ
ぽまこ
きっと見たことない人はわからないよね~詳しく説明するよ!

一週間のプログラム

 

    精神科の作業療法というと、患者さんからしても、他の職種のスタッフからしても「遊んだり趣味的なところをするところ」というイメージのようです。
    下の表のような、一週間のプログラム内容が決められているところが多いです。

 

午前 パラレルOT陶芸 園芸
運動
陶芸
ヨガ
園芸
パラレルOT退院促進
喫茶
認知リハ
園芸
心理教育
午後 病棟A
病棟B
病棟C
病棟D
病棟A
病棟B
病棟C
病棟D
病棟A
病棟B

だいたいこんな感じです。

 

    今回の見本は病棟のなかでするプログラムを午後にかためましたが、
    午前午後関係なく混ざっていることもあるし、いろいろです。
    作業療法士の人数が多かったら、もっといっぱいプログラムがあるでしょう。
    学生
    学生
    なんか園芸とか聞くと楽しそう~
    と第一印象はいいでしょう。
    実際参加する患者さんも「作業療法が楽しみ」と言ってくださる方がいます。
    もちろん、面倒だと嫌がる患者さんもいっぱいいます…。

プログラムの内容

どこの施設でもあるプログラム

プログラムは病院によっていろいろと特色があって違います。ですが、だいたいどこの病院にもあるプログラムをまずは紹介します。

①パラレルOT

「同じ場にはいるけど、みなそれぞれ違ったことをする」ことをパラレル集団といいます。編み物や刺繍などの裁縫、塗り絵や絵画、漢字練習、勉強、パソコンなどを行います。

まだ急性期(症状が発症してまだ間もない頃)を脱したくらいの方には、他の患者さんともあまり話す必要もなく、自分のペースを守れるので、パラレルOTを導入することが多いです。

入院直後、保護室などで刺激のない環境にいらっしゃった患者さんが大部屋に移ってしばらく経ったとき、くらいに刺激をだんだんと増やして社会環境と同じくらいに戻していく必要があるのですが、パラレルOTだとほどよい刺激量を守ることができます。

また、活動自体いろいろとありますので、復職のためにパソコンの練習を行う、塗り絵で集中力を高める、新たに自宅で行う余暇活動を増やすため編み物をする、などいろいろな目的を持って行います。

②運動プログラム

ストラックアウトの絵バレーボールや野球、バドミントンなどを行います。

高齢者など運動があまりできない患者さんのために、右のイラストのようなストラックアウトをしたり、座ったままできる風船バレーをしたり(風船だからゆっくりと落ちてくる)、新しいゲームやルールを自分作業療法士たちで考えて工夫をします。

長期で入院している患者さんは特に、体力が低下しやすいので退院に向けて、運動プログラムで体力を維持していただきます。

また、夜間眠れない、という方は日中の身体活動が少ない場合も多く、運動をしていただくことによって生活リズムを整えることを目的にしていることも多々あります。

同様に高齢者の方も転倒を予防するために、「ふまねっと運動」というものに取り組んでいただいたりしています。マス目を床に作り、そのマス目の線を踏まないように慎重に歩く。また、普通の歩行だけでなく、いろんなステップを作って認知機能を高める、などといった目的で行います。

また、ふまねっと運動はレクリエーション要素も高く、他の患者様と皆で楽しく転倒予防を図ることができます。

 

③料理プログラム

その名の通り料理をするのですが、難しいものではなく、退院してから自身で作れるように簡単なものを作ることが多いです。

料理というのは、同時にいろいろなことに気を配らなくてはならず、遂行機能が特に問われる活動です。

もともと自宅で家事をされていた場合は、退院後も家事をする必要がある場合は多いと思いますが、リハビリという形で少しずつ慣れていきます。

ただ、何年もの長い入院の患者様にむけて、お楽しみということでお菓子作りをしたりもします。

食べるということは人間の欲求のひとつですので、何もやる気が起きない、ずっと閉じこもっていたい…という方も、料理プログラムだけは参加する、ということがあります。

 

 

実際何ヶ所か見学に行ったり、人から話を聞いたりしましたが、上記の3つのプログラムはどこでもありました。

その他の作業療法プログラム

①ストレッチやヨガのプログラム
猫のポーズ

ヨガマットを敷いて、作業療法士が前で手本として行います。

普通のヨガ教室の中でいうと、初心者コースのレベルです。

もちろんそのプログラムに参加している患者さんのレベルによりますが、猫のポーズ(左)はできるけど、ダウンドッグ(右)はしないか、してもほんのちょっとのレベルで行うことが多いです。

あんまりしんどいと、みんな参加しなくなります…。
※ダウンドッグは慣れていないと結構しんどい

激しい運動が苦手だけど、運動プログラム同様身体活動のレベルを上げる必要がある方などにおすすめです。

②農作業プログラム

お花や野菜を育てます。

写真は、無料の写真をお借りしているのですが、ここまではいかなくとも、病院によってはこんな感じのかなり広大な畑があります。

トマトやきゅうりを収穫したら料理もこのプログラムの中で行うことが多いです。

土の感触、植物の匂い、味といった五感を用いて行います。また、植物の成長というのは一様ではありませんので、驚きや発見もあります。

園芸は身体的な活動だけはありません。

一人で黙々と草抜きすることもできますが、目標によってはコミュニケーションを向上させたい、と思っている方もおられるでしょう。

園芸では「さつまいも、もうちょっとで掘っても良さそうですね」などと会話の種はたくさん転がっており、社会性を上げたい方には良いかもしれません。

 

③陶芸プログラム

陶芸用の粘土を使って、形を作った後に、素焼き→釉薬(色付け)→本焼きします。

写真のようにくるくる回る土台(ろくろ)の上に乗せて形を作ることもありますし、型に入れて成形することもできるので、その人の技術に応じて段階づけすることが可能です。

普通の粘土のように扱って、自由に箸置きのようなものを作ることもできます。

だいたい陶芸のプログラムは、どこでも外部講師を雇っていることが多いように思います。

土は可塑性が高く自由度が高いです。構成能力が必要ですし、ろくろを使ってみるとわかると思いますが、少し指の位置がずれただけで形がぐにゃりと曲がってしまいますので、注意を集中しなければなりません。

「注意の集中」という言葉がここまでで何回か出てきました。たとえば統合失調症では幻聴や妄想がある病気、と思われる方が多いかと思いますが、実は認知機能も低下します。認知機能障害とは記憶力の低下や注意を選択的に集中することが困難になる、物事の段取りが下手になる、計画が立てられないなどといった症状です。そのような認知機能の低下を作業療法で改善を図っていきます。

④カラオケプログラム

だいたい、どこの病院でも種類は違えどカラオケの機械があります。

入院患者さんは特に、カラオケに行きたくても行けない方が多いので、カラオケプログラムは人気です。

⑤コーラスプログラム

カラオケと似ていますが、コーラスはその名の通り大勢で歌います。CDを流してそれに合わせて歌うこともあるかと思いますが、作業療法士がキーボードで弾く場合もあります。

手元に歌詞カードを用意したり、ホワイトボードに歌詞を書いた模造紙を貼ったりして進行します。

コーラスの場合、皆で歌いますので社会性も養われます

カラオケとコーラスは音楽療法的な要素が含まれますが、リラクゼーション効果やアルツハイマー型の認知症のBPSD(行動・心理症状)に効果が認められているようです。

⑥映画鑑賞プログラム

 

その名の通り、映画鑑賞を行います。

映画プログラムでは、映画を見ることに重きを置かずにその場で一定時間過ごす練習もできますし、映画にどっぷりとはまって情動を動かされることもあります。

映画プログラムというのは受動的な活動なので、自分から何かをしないといけない他のプログラムに比べて、患者様に負担なく参加していただけます。

ただ単に映画を鑑賞するだけではなく、それぞれ最後に感想を発表している場合もあります(もちろん発言は強制ではありません)。

しかし、個人的には映画というのはいろんなジャンルがあって、人それぞれ思うことは違うので、映画のタイトル選びに苦慮します。

多職種で行うプログラム

ここから先は、多職種で行うプログラムです。「精神科作業療法」の点数に含まれないものも紹介します。

①退院準備プログラム

料理や洗濯などの家事の練習、交通機関を使ってみたり、図書館などの公共施設を利用してみたりといった活動を行います。

退院後に通う作業所の情報なども提供します。

クール制にしているところが多いのではないでしょうか。

作業所や金銭的な制度については、PSW(精神保健福祉士)などに講師をお願いすることもあると思います。

先輩のピアサポーター(この場合、実際に入院していて退院した人)に話を聞く時間などもあります。

精神科の病院では、数年単位で入院されている方もおられるので、退院に向けて今の社会生活に慣れていっていただきます。

例えば、電子決済が普及したのは最近ですよね?

電車の乗り方やバスの乗り方も、昔と比べると変わっている場合もあるようです。

そのような実践的な練習を行います。

②心理教育プログラム

患者さんご自身の病気について学ぶプログラムです。

病気が起こる機序、それに対する薬、再発予防などについて学びます。

またプログラム中に、同じ病気の方同士で交流をもつ機会も作ります。

統合失調症のみ、気分障害のみ、物質依存のみ、といった疾患別のグループで行うことが多いです。

医師や薬剤師、管理栄養士、精神保健福祉士など様々な職種の方で行うことが多いです。

 

③SMARPP(スマープ)

薬物依存やアルコール依存症の患者さん対象に行うプログラムです。

過去に私が勤務していたところでは、ワークブックに沿って行っていました。

クール制で、心理教育のように多職種で行うことが多いです。

依存症は自助(当事者同士でのつながりや、助け合い)が治療のうえで大事なので、それも重視して進めていきます。

④認知リハビリテーション

私が過去に働いていたところでは、間違い探しや迷路、計算問題などを行っていました。

すみませんが、私が働いていたところではどこもまだNEARは取り入れていなかったので、ここから先は学会などで学んだ知識で書きます。

認知矯正療法(NEAR: Neuropsychological and Educational Approach to cognitive remediation)というものがありまして、週2回のパソコンを使ったプログラムと、週1回の言語セッションで成ります。

1回1時間くらいで、半年くらいかけて行うそうで、結構長期間なのでドロップアウトが多いのが難点と学会では話されていました。

統合失調症の患者さんは、記憶や注意といった認知機能が低下しますので、それをリハビリで改善しようというものです。

まだNEARを実施できる施設は少ないようです。

「国立精神・神経医療研究センター 統合失調症早期診断・治療センター」HP内
「認知リハビリテーション NEAR 実施施設一覧」
https://www.ncnp.go.jp/hospital/guide/docs/9684ccafcb9d5f38b987c9033108934add495534.pdf

⑤WRAP(元気回復行動プラン)

集団で行います。「元気に役立つ道具箱(自分が何をしたら元気になるか)」を書き出してお互いに発表したり、自分の調子が悪くなったときにしたらいいリストを作ったり、自分がどうしようもなく調子の悪い状態になったら、誰にどういうことをしてほしいかのリストを作ったりします。

知らない方は、集中クラスという2日間で行われるものがありますので、参加してみてもよいかもしれません。

特に資格を持っていなくても参加でき、当事者の方(障害をお持ちの方など)も参加されています。

学生
学生
いろんな種類のプログラムがあるんだね~
ぽまこ
ぽまこ
私が見てきたところや、他の病院で働く人に聞いた情報を合わせて紹介したよ。入院している患者さんの特徴にも合わせるから、施設によってプログラムにも特色があるよ!

診療報酬点数

上記のように、いろいろとプログラムがありますが、精神科作業療法の診療報酬は1枠(1単位)2時間と決まっています。

また、ひとりのOTR(Occupational Therapist Registered 作業療法士の略)が1日に持つことができる単位は2単位までです。1単位25人の患者さんまでひとりのOTRがみることができるので、25人を超えるようならばそのプログラムのOTRの人数は多めに設定します。

このようにいろいろと点数を取る時の決まりがあるのですが、きちんと2時間プログラムをしているのかなど、監査が入りますのでそのあたりはきちんとしなければなりません。

以下に規定を転載しましたので、一度目を通してみてください。

I007 精神科作業療法(1日につき)
220点

注 別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において行われる場合に算定する。

通知

(1) 精神科作業療法は、精神疾患を有するものの社会生活機能の回復を目的として行うも のであり、実施される作業内容の種類にかかわらずその実施時間は患者1人当たり1日 につき2時間を標準とする。なお、治療上の必要がある場合には、病棟や屋外など、専 用の施設以外において当該療法を実施することも可能であること。

(2) 1人の作業療法士が、当該療法を実施した場合に算定する。この場合の1日当たりの取扱い患者数は、概ね 25 人を1単位として、1人の作業療法士の取扱い患者数は1日2単位 50 人以内を標準とする。

(3) 精神科作業療法を実施した場合はその要点を個々の患者の診療録等に記載する。

(4) 当該療法に要する消耗材料及び作業衣等については、当該保険医療機関の負担とする。

出典元:「今日の臨床サポート」https://clinicalsup.jp/contentlist/shinryo/ika_2_8_1/i007.html

 

通知

第48の2 精神科作業療法

1 精神科作業療法に関する施設基準

(1)作業療法士は、専従者として最低1人が必要であること。

(2)患者数は、作業療法士1人に対しては、1日50人を標準とすること。

(3)作業療法を行うためにふさわしい専用の施設を有しており、当該専用の施設の広さは、作業療法士1人に対して50平方メートル(内法による測定による。)を基準とすること。なお、当該専用の施設は、精神科作業療法を実施している時間帯において「専用」ということであり、当該療法を実施する時間帯以外の時間帯において、他の用途に使用することは差し支えない。

(4)(3)の内法の規定の適用については、平成27年4月1日からとすること。また、平成26年3月31日において、現に精神科作業療法の届出を行っている保険医療機関については、当該専用の施設の増築又は全面的な改築を行うまでの間は、(3)の内法の規定を満たしているものとする。

(5)当該療法を行うために必要な専用の器械・器具を対象患者の状態と当該療法の目的に応じて具備すること。

代表的な諸活動:創作活動(手工芸、絵画、音楽等)日常生活活動(調理等)、通信・コミュニケーション・表現活動(パーソナルコンピュータ等によるものなど)、各種余暇・身体活動(ゲーム、スポーツ、園芸、小児を対象とする場合は各種玩具等)、職業関連活動等

(6)精神病院又は精神病棟を有する一般病院にあって、入院基本料(特別入院基本料をく。)、精神科急性期治療病棟入院料又は精神療養病棟入院料を算定する入院医療を行っていること。ただし、当分の間、精神病棟入院基本料の特別入院基本料を算定している場合も算定できることとする。

2 届出に関する事項

(1)精神科作業療法の施設基準に係る届出は、別添2の様式45を用いること。

(2)当該治療に従事する作業療法士の氏名、勤務の態様(常勤・非常勤、専従・非専従、専任・非専任の別)及び勤務時間を別添2の様式4を用いて提出すること。

(3)当該治療が行われる専用の施設の配置図及び平面図を添付すること。

出典元:「今日の臨床サポート」
https://www.clinicalsup.jp/contentlist/shinryo/h26/shisetsu/toshi0010.html

作業療法はいろいろなプログラムがある!

今回いくつかプログラムをご紹介しましたが、上記の他にも、きっといろいろとプログラムがあると思います。

興味のある病院のホームページにいって、見てみるとたくさん載っていると思いますよ。

また、作業療法は目的をきちんともって活動を提供しています。

ただ単に遊びを提供しているわけではないことが伝われば…と思って書きました。

もし、作業療法を受けていて「何を目的にやっているのかわからない」という場合は、作業療法士にもう一度目的や目標を聞いてみるといいと思います。

今の悩みに合わせた作業を選択することができるでしょう。

また、何か質問などありましたらお問い合わせフォームで聞いていただければと思います!

それでは、今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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