前回は、障害者雇用で求められる社会人のマナーをご紹介しました。
今回は、障害者雇用の現場で求められる特有のスキルについてご紹介したいと思います。
障害者雇用では、自分の障がいをしっかりと理解していることが大事
障害者雇用において、何が一番重要視されるかというと、
自身の障がいについて理解できているか、受容できているかということがとても大切となっています。
実際、就職時の面接においても、その点が大きく合否の判断に関わっています。
今回は統合失調症を例に考えたいと思います。
自身の障害についての一般的な理解をする
まずはご自身の症状というよりも、自分の障害は何なのか?ということを調べます。
障害者雇用で働こうと思うと、障がいの種類が何であれ病院の先生に診断書を出してもらうと思います。
そこに書かれている病名・障害名を確認しましょう。
本やネットで病名や障害名を調べてみる
たとえば診断書に「統合失調症」と書かれていたとします。
統合失調症について書かれた本を読んだり、ネットで検索してみましょう。
ネットの場合、無料でかつ手軽ですが、誤った情報の場合も無きにしもあらずなので、本の方が良いでしょう。
また、本の場合は新しめの本を準備しましょう。
日々医療や治療法などは進歩していますので、新しい本を読む方が良いと思います。
また、分厚い本ではなく「誰にでもわかる○○」といった本や「初心者向け△△」といったような入門書をおすすめします。
医療従事者が読むような本は前提知識がないと読めないものも多いので、入門書が良いでしょう。
障害の基本情報を学ぶ
統合失調症の場合、前駆期から始まり、急性期→消耗期→回復期といったステージがあること。
統合失調症の幻覚の症状は幻聴が多いこと。
100人に1人の割合で発症すること…
などなど、障がいの基本情報が載っていると思います。
また、どのような治療法があるのかなども載っています。
それらに目を通して、自分の障害が「一般的に」どのようなものなのかを調べます。
自身の障害について、一般の症状と照らし合わせる
一般的な症状が理解できたところで、次は自身の障害について考えてみます。
幻覚や妄想、何もやる気がおきない…など、一般的な症状がたくさん書かれていたと思うのですが、その中でご自身も「同じだ」と思うことがあるかもしれません。
しかし統合失調症の場合、現実と幻覚の区別がついていることもあれば、区別がついていない方も多くおられます。
一般的な症状を見ても、「自分には当てはまらない」という方もおられるかもしれません。
それはそれで良いのです。
ひとまず一般的な症状と自身の障害について比較をしてみて、どれが自分に当てはまるかを考えてみてください。
自分の調子が悪くなるときのサインを知り、支援者と共有する
先ほどお話したなかで、「自分の障害はこういうことなんだな」と思った方もおられたら、「自分はこの病気の診断がついているけど、違う気がする…」という方もおられると思います。
「自分の障害はこういうことなんだな」と思った方は、そのまま障碍者雇用の支援者に伝えてみましょう。
また、「自分はこの病気ではない」と思った方は、ここでは障がいというのを”生きづらさ”と考えてみましょう。
「自分はずっと調子が良くて、調子が悪くない時はない!」という方もまれにおられますが、ほとんどの方は調子が悪くなることはありますよね。
そんな”調子が悪くなるとき”はどういった時なのか?のサインを自身で把握しておくことが大切です。
障害者雇用の場面では、そのような”調子が悪くなるとき”のサインについて、支援者と共有しておくと、支援者が先に調子の悪化に気づいて一緒に対処してくれることがあります。
支援者とは、そのためにいるといっても過言ではありません。
たとえば眠りが浅い日が続いていたら、調子が悪くなっていく。ごはんがあまりほしくないと思うときは調子が悪い。
などとご自身のことを把握できているといいですね。
調子の悪化のサインに気づいたら、対処できる
調子の悪化のサインに早めに気づくことができたら、自分自身でも対処ができますし、支援者に相談して仕事の量や内容を変更することができます。
障害者雇用の良いところは、合理的配慮を求めることができるところです。
自分の調子の悪化に気づいたときは早めに相談してみましょう。
また、「相談するのが苦手」という方は、普段から自分の調子のことだけでなく、仕事上のことも積極的に報告・連絡・相談しておき、いざという時に相談しやすい関係を作っておくのも良いかもしれません。
まとめ 障害者雇用では自分の調子について理解できていることが大事
障害者雇用で働くときには、特に自分について理解できていることが求められます。
自分で自分のことをわかっていると、他の人にも助けを求めやすく、また周りもどのように対処したらよいのかが分かりやすいからです。